さくら眼科クリニック

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コラム 日々のつれづれ

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近視進行抑制にアトロピン点眼が有効 京都府立医科大学、慶応大学、筑波大学ら共同研究

0.01%アトロピン点眼は、プラセボ点眼と比べて、日本人学童の近視の進行を有意に抑制した――。2年間にわたる「近視学童における0.01%アトロピン点眼剤の近視進行抑制効果に関する研究(ATOM-J Study)」(責任医師:京都府立医科大学特任講座感覚器未来医療学教授の木下茂氏)の結果が、このほど公表された。 ATOM-J Studyは、多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対象並行群間比較試験。6~12歳の学童を、0.01%アトロピン1回/日点眼群(84人)とプラセボ1回/日点眼コントロール群(84人)に分けて、1日1回点眼し、24カ月後の屈折値変化を比較した。その結果、屈折値変化はそれぞれ-1.26D、-1.48Dで、両群間には有意差(P<0.001)を認めた。 臨床研究に携わった京都府立医科大学眼科学講師の稗田牧氏は、「近視人口は増加し続けている。近視の進行抑制法には幾つかあるが、いずれも高いレベルのエビデンスがほとんどない。今回、多施設共同の無作為化二重盲検プラセボ対象並行群間比較試験で、0.01%アトロピン点眼による近視の進行抑制効果が示せたのは大きな成果だ」と説明する。 日本人学童を対象とした試験で明らかな効果  2つのATOM試験を通じ、近視抑制の効果が認められつつも、比較的副作用が少なく、リバウンドが見られないことが確認された「0.01%」を採用し、京都府立医科大学病院を中心に全国の7大学病院が協力して実施されたのが「ATOM-J」試験だ。  6~12歳の男女学童(等価球面度数が-1.00~-6.00D)を、0.01%アトロピン点眼群とプラセボ群にランダムに割り付け、両眼に1日1回、2年間点眼し、近視の進行程度が比較された。結果は冒頭の通りで、稗田氏によると「プラセボ群に比べて、近視の度数、眼軸長ともに統計学的に有意な進行抑制が見られた」という。サブ解析を含めた詳しい結果は、今後明らかになる予定だ。  近視の進行抑制をターゲットとしたアトロピン点眼薬の治験は、参天製薬が既に始めている。これまでの近視進行抑制治療は、ほとんどが保険収載されておらず自費診療だったが、低濃度アトロピン点眼薬が承認され薬価収載されれば、近視の進行抑制が保険診療で行えるようになる。今回の研究の成果は、その第一歩ともいえそうだ。 日経メディカル2019/10/1記事より
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